保育園から帰りたがらないのは何故?子供が持つ2大心理とその対応術

保育園にお迎えに行ったのに、子供が帰りたがらない・・・。
帰ってから晩御飯の準備もしなきゃいけないのに・・・。
子どもが保育園から帰りたがらないというのは決して珍しいことではありませんが、ママからすれば、「早く帰りたいのに。」「スムーズに帰ってくれない。」「イライラしてしまう。」「どうしたらすんなり帰宅してくれるの?」と感じてしまうもの。

そこで、この記事では何故保育園から帰りたがらないのか?という子供の心理と、それに対する対応術について保育士さんに実際に聞いてみたことをまとめてみました。

子供が保育園から帰りたがらない2つの心理

なぜ子どもは保育園から帰りたがらないのでしょうか?
先ず一つ言えるのは、『家が落ち着かない場所だから、帰りたがらないのではないか』と言ったマイナスな考えは捨てましょう。それが原因ということは、まずありえません。
考えられる心理は大きく2つあります。

①まだ保育園で遊んでいたいから
②ママを困らせたいから

一つ一つみていきましょう。

①まだ保育園で遊んでいたいから

単純に今、目の前にある遊びがとても魅力的で、離れたくないからという心理が子供にはあります。
お友だちのことも好きだし、保育園の先生も好き。そして、玩具や遊具、絵本など、遊べるものが保育園にはたくさんある。楽しいことをまだまだしたいから帰りたくない!という子どもの欲求の現れです。
保育園で遊んでいたいこの心理は、さらに細かく三つに分けられます。

遊び足りていない

単純に遊び足りていないので帰りたくない気持ちがあります。一日中保育園にいて十分遊んだと親は思ってしまいがちですが、楽しいことはずっとしていたいのが子供の本音です。例えば2歳くらいだと気持ちのコントーロールも難しく、どうしても夢中になってしまうのです。

遊びの途中だから

新しい遊びを始めたばっかりのタイミングでママのお迎えが来たとしても、これから遊ぼうとしていたのなら、それをすぐにやめて帰るといのはなかなか出来ないものです。中断されることは子供に限らず大人も切り替えにくいものです。子供にもペースがあるので、区切りよいタイミングまでは遊びたいという心理があります。

友だちや先生と離れるのか寂しいから

大好きなママがお迎えに来たとしても、一日一緒にいた大好きな先生やお友達とバイバイするのは寂しいものです。まだ一緒に遊んでいたい気持ちもあるので、すぐには離れられない心理があるのでしょう。

これらのように、遊びが楽しい、まだ遊びたい、遊びの途中だ、先生やお友達とバイバイしたくない気持ちがそれぞれ複合して「帰りたくない」という心理がはたらいています。裏を返せばそれだけ保育園が楽しい場所、子供にとって大切な安心できる場所になっているということが言えますね。

②ママを困らせたいから

二つ目は『ママをちょっと困らせたいから』といった心理です。
これは、ママのことが嫌いだから、というわけでは決してありません。また子供自身もわかってそれをしている訳でもありません。
子供なりの理由がいくつかあるのです。

緊張からの解放

私が保育士をしていて感じていたのは、『保育園』という場所は、子どもにとって楽しい場所でもありますが、実際集団で行動しなければならなかったり、一人一人のワガママを聞いてあげられる場所ではないため、子どもたちは、少なからず常に緊張しています。
そのため、お迎えの保護者の方の顔を見た瞬間、みんな一度ホッとした表情をします。
自分のペースで物事を進められない緊張していた時間から解き放たれたことで、オンからオフに切り替わります。すると子供自身でもよくわからないまま、駄々をこねたり、泣いて愚図ってしまったりしてしまうのです。
また、2~3歳からよく見られる『イヤイヤ期』では自分の意見を通したいという自我が芽生え始めます。まだ、自分の気持ちをうまくコントロールできない時期のため、その思いを受け止めてくれる相手に対しては、安心して、『イヤ』という気持ちや甘えを出すことができるのです。
このように、ママが嫌いだからといった理由ではなく、甘えられる相手だからこそ安心してワガママが言えるのです。

帰宅後にママとの時間がない

ママはお仕事を終えて、子供のお迎えをし、帰宅後は家のことが待っています。慌ただしい夕方の時間帯はどうしても、子供の相手をする時間がありません。帰宅後はテレビや動画見て過ごす、一人でおもちゃで遊ぶといった具合にママとの時間がないことに寂しさを感じてしまうことも少なくありません。
「帰宅するとママは忙しくなってしまうから」そんな理由で、保育園からすぐに帰らずにママとここで遊んでいたいといった心理がはたらいてしまうのです。

ママと子供のコミュニケーションのずれ

保育園で一日を過ごした子供と職場で一日過ごしたママ。同じ一日でもその中身は全く違います。時間軸や帰宅後の見通しも子供とママにはズレがあります。例えば子供は帰宅後がホッとした時間になるのに比べて、ママは家事を済ませて子供のお風呂を入れて、一日にやるべきことのほとんどが終わった時点でホッとした時間になりますよね。このズレがコミュニケーションのズレを生み出すこともあります。ママの時間軸でコミュニケーションを取ろうとすることで、子供は寂しさを感じてしまうのかもしれません。

子供は保育園という社会の中で一日を過ごしています。子供を保育園に送り、お迎えに行くということは、ママよりもその社会の中にいる時間が長いということです。丸一日緊張して過ごし、そこから解放された瞬間、よくわからないまま愚図ってしまうのも仕方ないことかもしれませんね。でも、ママ困らせたいというのはそれだけママのことが好きという裏返しなんです。

スポンサーリンク


保育園から帰りたがらない子供への5つの対応術

子供が保育園から帰りたくない心理をお伝えしました。子供なりの理由があることがおわかり頂けたかと思います。
でも、子供が帰りたくないと言っても、ずっと遊ばせておくわけにはいかないですし、少しでも早く家に帰り、晩御飯を作ったり、やらないといけないことをしたいのも事実ですよね。
それでは、実際にお子さんが自主的に家に帰るように導くには、どのような対応術があるのでしょうか。

①帰る約束(ルール)を決める

『あと△回したらおしまいね。』という具合にルールを設けます。
例えば「絵本を3冊読んだら帰ろうね」や「この玩具で3回遊んだら帰ろうね」など、帰るためのルールを設定します。ルールを設けることで、子供は帰るための心構えを作ることができ、見通しが持てます。また「あと3回は遊べる」ということで子供にとっても嬉しいルールとなります。
もし「まだ遊びたい」と言われても「あと一回だけいいよ」「あと一冊だけいいよ」と、子供の気持ちに寄り添った余裕のある声掛けをしましょう。
他にも「ママとどっちが帰る準備が早いかな?」とゲーム性を持たせるような声掛けも有効です。

②アラームを設定する

時計のことが少しわかるようなら、「この針が6のところに来たら帰ろうね」「この画面に6の数字が出たら帰ろうね」といった具合に時間設定をして、それまでは自由に遊んでいいよと声掛けをします。実際に携帯電話のアラーム機能を活用して「ピピっと言う音が鳴ったら帰ろうね」と言ったように音が鳴るとより具体的かつ切り替えがしやすい合図となります。音で知らせるのは子供にとってシンプルでとてもわかりやすく、気持ちの切り替えもしやすくなります。
電子音だけでなく、音楽やメロディだと、よりわかりやすく子供も喜ぶ合図になりますよ。

③帰宅後に楽しいことがあると伝える

『おうちに帰ったら〇〇しようか!?』『帰りに△△見て帰ろうか!』『昨日の遊びの続きをしよう』など、子どもが興味を持って帰宅を楽しめるような何かを用意しましょう。
家に帰ることに期待をもつことで自分から進んで帰ろうとする子どもも多くいます。帰ると楽しいことが待っていると思えば、子供も喜んで帰りますよね。でも・・・
この方法を試されている方はご存知の通り、効くときと効かないときがあります。
おうちでの楽しみよりも、今目の前にある遊びを優先したい、という場合も多くあります。目に見えない楽しみよりも、目に見えていて、すぐに触れることができる遊びに惹かれてしまうのです。
このようなときは、楽しいことに対して、子どもが外のことが見えないくらい、ワクワクしている状態なので、少し、クールダウンの時間を設けましょう。(先生にOKをもらい、しばらくの間見守りましょう)

④目に見える形で区切りをつける

「先生にあいさつして帰る」「お友達にバイバイを言って帰る」など、帰る時のお決まりの行動を習慣にしておくことで子供にとっても区切りとなり、子供にとって気持ちを切り替えやすくなります。
手を洗う。トイレに行く。他のお友達のママがお迎えにきていたら、そのお友達と「一緒に帰ろうか」と誘うのもいいですね。

⑤クールダウンする

お迎えに来てすぐに帰宅するのは、なかなか難しいものです。あえて、見守る時間を少し設ける方がよかったりします。というのも、お迎えにきてからすぐと、少し時間を設けるのとでは、子どもの様子は大きく変わります。この少しの時間が、子どもの日中の緊張がほぐれ、落ち着くことができるクールダウンの時間になるのです。
保育園から自宅までの帰り道に少し寄り道するだけでも、クールダウンになります。

如何でしたか?これらのように、保育園から帰りたがらない子供への対応法はいつくかありました。いくつか重ねてアプローチするのもありですね。
時間や回数などでしっかりと制限を設け、約束したり、『〇時になったら帰ろうね。』といった時間を決め、アラームを設定してみましょう。
それでも約束を守らなかった場合は、どうして帰りたくないのかをもう一度聞き、約束を守ってくれなくて、お母さんが悲しい、という気持ちを伝えましょう。
もちろん、このような方法で、絶対に上手くいく、というわけではありません。予測不能なのが子どもですから、今日上手くいっても、明日は上手くいかないかもしれません。
そのため、お母さんは、子どものワガママを真っ向から受け止めないようにしましょう。
子ども自身も、自分の気持ちのコントロールができない時期なので、まともに相手しようとすると、お母さんがしんどくなってしまいます。
天邪鬼な時期なんだと割り切って、あまり深く悩みすぎないようにしましょう。

スポンサーリンク



子供へ言葉掛けする時に気をつけたい4つのポイント

保育園から帰りたがらない子供への対処術をお伝えしました。
もう一つ重要なのが、子供への声の掛け方です。
伝え方次第で子供の反応もまた変わってきます。
保育園の中でも帰ってからでも意識して欲しい声掛けのポイントを4つお伝えしたいと思います。

①アイメッセージで伝える

例えば、子供がお約束をやぶってしまって時。
「どうして約束を守れないの!」
「さっきお約束したでしょ!」
と、気持ちが焦っている時はそのような言葉掛けになりがちですが、こういう時は「アイメッセージ」を心がけましょう。
アイメッセージのアイは英語の「I」の意味。つまり、「私からのメッセージ」と言う意味となります。「私はこう思う。」「私はこう感じる。」といったように、私から見て思った気持ちを伝えるというものです。
「○○ちゃんがお約束を守ってくれなくて、ママはとても悲しい。」と言ったように表現します。
自分の行いによりママがどういう気持ちになったか子供に率直に伝わります。
またこの言葉掛けを心がけることで、子供に怒ったり、責めたりする言葉が自然となくなります。

②できるだけ肯定的な言葉を使うで

肯定的な言葉を使う理由は二つあります。
一つは子供に「ダメ」「きらい」「もう知らない」など否定的な言葉を使うと、子供の自己肯定感を下げていくことに繋がります。なので、できるだけ肯定的な言葉で伝えましょう。
もう一つは、否定的な言葉を使うとかえって、その行動を強化してしまうからです。
「走っちゃダメ」と子供に伝えると「走る」という言葉が頭に思い浮かんでしまい、余計に走ってしまう時があります。こういった時は「ゆっくり歩こうね」と伝えることで「歩く」という言葉が頭に思い浮かんで「歩く」を意識します。
少しの言葉の変換で子供への伝わり方が変わるのです。

③褒める

保育園から帰る時はできるだけ子どもを褒めましょう。
前述もしましたが、子供は保育園で「緊張」した状態で一日を過ごしています。
新しいことにチャレンジして、成功したり失敗したり、親の知らない間の日中にいろんな経験や成長をしています。そんな一日を過ごした子供の保育園での締めくくりは、是非存分に褒めてあげてください。

④帰宅後は一日を振り返ってみましょう

これらの言葉掛けを意識しながら、その日保育園で一日過ごしたことを一緒に振り返る時間を作ってみましょう。お風呂の中でお話しするのもいいですね。
「何をして遊んだの?」「誰と遊んだの?」「お外では何をしていたの?」と言ったように園であったことを聞いてみましょう。
上手にお話ができない時は時々、「○○のことかな?」と言ったように言葉を導びく質問などをしましょう。
この振り返りの時間で保育園での様子を知ることもできますし、子供にとっても振り返りとなったり、お話しをする力も付いてきます。

スポンサーリンク


まとめ

ママが保育園にお迎えに来ると喜んですぐに走って帰る子もいれば、
「帰りたくない!」と言って帰ろうとしない子もいます。
お仕事帰りに迎えにきて、家に帰ってからもしなければならないことがたくさんあるのに、なかなか帰ろうとしてくれない・・・。
お子さんを説得している間に、ママの方がへとへとに・・・
こんな経験をされているお母さんも多いのではないでしょうか。
今回この記事では保育園から帰りたがらない子供の心理とその対処術についてお伝えしました。

子どもは、家に安心があるからこそ、外にある刺激がとんでもなく楽しいものだと感じます。
保育士の立場から、お子さんを家に帰りたがらないのを説得しているお母さんの様子を見ていましたが、正直、本当に大変だと思います。
しかし、これも子どもの成長過程の一つです。
子どもが中々帰らなかった日は、スーパーでお惣菜を買って帰っても良いですし、家事を手抜きしても全く問題ありません。
とにかく、子どもにとっての一番の元気の源は、お母さんが笑顔でいることです。
お母さんが深く考えすぎず、しんどくならない程度に、お子さんの成長と向き合ってほしいと思います。
いつか、近い将来、お子さんが自分から『帰ろう!』と言ってくれる日が来ますよう、願っております。

こちらはおススメの書籍です。
『0~3歳児』と『3~6歳児』があります。
漫画なので読みやすいですよ!

スポンサーリンク